海にいきたいな、とアナは思っていた。書斎の窓から身をのりだして、日のおちかけた空をながめていた。あしたのことを夢想する。きっと雲ひとつない晴天、電車にのってエルサとふたり、きっと混雑しているであろう青い海へ。
(これから、夏休み。夏といえば、やっぱり海だもの)
観音開きのそれをしめて、アナはかけだす。きょうは、特別な日だった。
「あっ」
ダイニングのほうへいくと、思いがけぬ光景が目にはいった。アナはあわててエルサにかけよる。
「なにしてるの」
「なにって」
テーブルのうえには、ささやかなパーティの準備がされていた。アナが買ってきたホールのケーキ。ふたりでたべるにはおおきすぎるが、せっかくだからと奮発した。おいわいのことばの書かれたチョコレートがまんなかにのった、バースディケーキだ。そのとなりには、すっかりお茶の準備がととのっていた。
「こんなの、あたしがするのに」
「そう? でももうしちゃったもの」
エルサはなにもわかっていない。アナはすみからすみまでエルサの誕生日をいわいたいのに。誕生日プレゼントの件だってそうだ。本当はサプライズですてきなおくりものをしたかったが、彼女のほしいものなんて全然わからない。だからなにがほしいのかたずねたものの、エルサはアナがいてくれることが最高のプレゼントだと言ってそれ以上はなにも言わなかった。いや、よけいなことは言ってくれた。プレゼントはけっして用意しなくていい。すこしさみしかったが、彼女の誕生日をめいっぱいにいわうことでかえようと思っていた。
「もう、あとはあたしがするから、エルサはすわってて」
「そうなの?」
「そうなの」
紅茶のいれかただって、エルサにおしえてもらった。それだけじゃない、家事のやりかたもすこしずつおぼえた。この家にきてから、もうひと月とすこしたとうとしている。アナがなにかをおぼえるたび、これでアナもひとりでだいじょうぶね、とエルサはくちぐせみたいに言った。それがきこえないふりをするのはたいへんだった。どうしてそんなことばかり言うのだろう、それではまるで。
アナはあわててちがうことをかんがえた。そういえば、エルサはいっこうに喫茶店をはじめる気がないようだった。もう開店の準備はできているはずなのに、アナが学校からかえってくるたび店のカウンターのおくにすわってでむかえてくれるのに、それ以外の客をよぶ気がないようだった。だから結局、ここにすまわせてもらう口実じみた条件の、喫茶店の手つだいは一切できていない。なんだかもうしわけなかった。それになにより、不安だった。エルサはまるで、ここになんの痕跡ものこさないようにしているような気がしてならないのだ。
(ばか、あたし、結局こんなことばっかり)
きょうはだいじな日なのに、エルサが特別だと言った、彼女の誕生日なのに。アナはかるく頭をふって、もうよけいなことはかんがえないようにした。
「……?」
ふと、見なれないものがテーブルのわきにおかれていることに気づいた。ちいさくてまるい皿のうえから、つうっと白いすじがたちのぼっている。エルサが香をたしなむなんてしらなかった。どこかふしぎなかおりがするそれをながめていると、頭がぼおっとする気がした。あわててまばたきをして、いれた紅茶をエルサのまえにおく。
「エルサ、お誕生日おめでとう」
「……ええ、ありがとう」
ほほえむ彼女のとなりに、アナもこしかける。ねえ、今年の誕生日は、なにが特別なの? それはね、私があたらしい私になるからよ。エルサの曖昧なもの言いにはなれてしまった。アナは気をとりなおして、すこしはずかしがるエルサをうながしてろうそくの火をふきけしてもらう。ケーキをきりわけて、いっしょにたべた。あまくておいしいと言えば、彼女も同意してくれる。それだけで、ふわりと胸のなかがあたたかくなった。それなのに。
(……あれ)
くらり、と視界がゆれた気がした。そのまんなかにいるエルサが、ほほえんでいた。とっさに彼女のなまえをよぶと、彼女はどうしてか、ごめんね、と、そう唇をうごかした気がした。
「だいじょうぶよ、アナ。ちゃんと、約束してくれたもの」
朦朧としているアナに、エルサがささやきかける。ソファのうえにねかされた彼女は、それでもなんとか相手の言わんとしていることを理解しようとしていた。そんなことはしなくていい、あなたは、なにもしらなくていい。エルサは、白いけむりをたちのぼらせる香を、彼女のそばにおく。それから手袋をしていない指先でアナのほほをなでた。このひえたものが彼女を不快にしなければいい。ぼんやりとした不安は、しかし杞憂におわる。アナは、うわごとのように気持ちいいと言った。エルサのひくい体温を、うけいれていた。思わず口元がゆがむ。
「……あなたは、そんなふうに感じてはだめよ」
エルサの指先が、こんどはアナの髪をなぞる。いとおしそうなそのしぐさ、それとはうらはらな、おぞましい音がした。まるで氷がはりつめるような、どこかいたいたしいような。エルサはそっと目をとじる。いつのまにかこの部屋のなかは、つめたい霧におおわれてこおりつこうとしていた。まるで真冬のように、夏なんてどこかへいってしまったかのように。もうすこし、と彼女はだれかに言いきかせる。そのうちまわりの異変に気づいたのか、アナが不安そうにエルサの名をよぶ。じくり、と胸がきしんだ。その原因に、エルサは気づかないふりをする。
「だいじょうぶよ、ねえ、アナ。よくきいて」
ふわふわと、香の気配がただよっている。あたたかいのかつめたいのかもわからないそれが、ふたりをつつむ。
「あなたはいまから、ここにきてからのことをわすれてしまうわ、私のことも、全部わすれてしまう。それでいいのよ。ただ、ひとつだけおぼえておいて。あなたのおうちのあなたの部屋に、あなたの屋敷の管理のしかたを書きのこしてある。安心して、あなたなら、ちゃんとやっていけるわ」
アナの表情がぴくりとうごく。彼女はなにをさとったのだろう、なにか言いたげな唇がふるえた。その動揺をなかったことにするように、エルサはアナの唇に自分のそれをかさねた。
「……っ」
ていねいに、なぞる。アナのなかをなぞる。ずっとおくにかくされたものをさぐりだす。かつて、エルサがうめこんでしまった不要なものをとりのぞかなくてはならなかった。まわりの空気がふるえ、徐々に、アナの顔色がわるくなっていく。さむいのね、でもそれでいいの、それがただしいの。霧がきえさり、氷がとけていった。それはまるで、エルサのなかに集約されていくようでもあった。
(エルサ)
名を、よばれた気がした。はっとして身をひけば、アナはもう意識をうしなっていた。あどけない表情が、まるで夢を見ているようにしずかにしていた。エルサはアナの髪をなでて、すこしないた。エルサとおなじ色があとかたもなくきえてしまった、彼女の純粋な赤髪。こころのそこからほっとしていた。
しかしその余韻は、唐突な気配にかきけされてしまった。エルサのからだがこわばった。いやな予感が冷や汗になって背筋をふるわせる。店先のほうだ、まねかれざる客がやってきた。そう理解した途端にどんどんと音がして、鍵のかけられた扉が乱暴にノックされているのだと思った。あとすこしなのに。エルサは歯がみして、たちあがる。
「……アナ、すこしだけまっていて」
ふかい動揺と恐怖に支配された声が、それでもやさしく、アナにかたりかけた。
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アナは夢を見ていた。そこには、あたたかな家庭があった。雪だるまをつくる女の子がふたり、愛嬌のある顔をした彼を、姉がオラフと名づけた。だきしめて、とつくった声をだすと、妹のほうがうれしそうにだきついた。そのようすを、父親が写真におさめている。さあ、もう一枚だ、ふたりとも笑って。そのようすをながめていた母親が、おやつの時間だと家族たちによびかける。うれしそうにかけだした少女たち、父親は彼女たちにつづきながら、妻に写真のうんちくをたれている。
こどもたちにはホットミルク、おとなたちはコーヒーをいただきながら、あまいチョコレートをほおばった。ねえおとうさん、私もコーヒーがのんでみたい。姉が言うと妹も手をあげて、こっちは母親にくっつく。ふたりは笑って、自分のもっていたカップをこどもたちにわたした。反応はさまざまだ。姉は無理しておいしいと言って、妹はおいしくないと顔いっぱいでかたっていた。おまえたちもいつか、かあさんのいれたコーヒーをおいしくのめるときがくるさ。あら、それじゃあ、それまでに腕をみがいておかないとね。笑い声がひびいていた。とても、うつくしい情景だと思った。
それから、たまらないほどの、なつかしさ。
(おとうさん、おかあさん、……ねえ、さん)
アナは思いだしていた。なにかが、おしえてくれた。
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「やあ、失礼しております」
眼鏡をかけた背のひくい老人が、堂々としたようすで姿勢をただしていた。うしろには、大男がふたりひかえている。エルサは店のまんなかのあたりでそうしている侵入者を、じっと見すえた。鍵がかけられていたはずの喫茶店の扉は、すでにあけられていた。ああもうしわけない、こやつらはちからの加減をしらぬものでね。老人の台詞をうけて、大男のひとりがにぎっていたドアノブをエルサの足元へなげてよこす。
「あいさつがおくれました。わたくしはウェーゼルトンともうします。おはつお目にかかれて光栄ですな」
「帰って」
エルサの剣呑な声に、ウェーゼルトンと名のった老人はだまる。つぎにはひかえたふたりがあゆみでて、彼をかばうようにした。それを制するように、老人の手があがる。
「話がはやくてたすかります。どうやらそのようすだと、われわれの目的はもうわかっていらっしゃるようだ」
「帰らないというなら、こちらはどうとでもできるのよ」
「……それはうそですな」
あなたの臆病は有名ですよ、エルサ・アレンデール。名をよばれた瞬間、エルサが腕をつきだした。空気がふるえて、急激にその場の温度が低下する。ウェーゼルトンはあわてたようすで男たちのかげにかくれた。しかしそれ以上の変化がないと見てとるや、またえらそうな顔をひっさげてまえにでる。
「ふん……あなたほどのちからをもっていながら、むらがる欲深い連中をけちらすような真似はけっしてしないのは、なぜなんでしょうな。いつもこそこそとかくれてばかり。あの見事な城などまったくその最たるものだ。わざわざあんな目だつところに身をかくしたのは、自分の居場所をあえてあかすことで、まわりの人間に牽制させあおうと思ったのでしょう。自分ではそういう輩たちをどうにもできないものだから……」
さあ、そんな臆病者が、わしをいったいどうすると? じわじわと、エルサの手のさきに氷の結晶がわだかまる。エルサはこれをどうするべきかわかっている、それなのに、どうしようもない。おねがいだから、帰って。ついには懇願までもが口からこぼれる。思わずぎゅっと目をとじた瞬間、ウェーゼルトンが高笑いをした。
「おい、さっさとあの女をつかまえろ。ふん、まったく手間をかけさせおって。そもそもあのフリン・ライダーとかいうチンピラめ、まんまとガセをつかませおって……いらんとおまわりまでさせられたわ」
ぶつぶつ言っている老人のうしろで、男たちが目くばせする。それからのしのしとエルサにちかづく。さあ、おぬしのちからをくさらせておくのはもったいない、わしが有効活用をしてやろう。下卑た声がする、大男においつめられる。エルサは腕をふるわせたまま、あとずさるしかない。
「……ねえさん?」
瞬間、声がした。エルサの表情が、絶望にそまる。男たちが身がまえた。その場にいたものの視線が一点にあつまる。エルサの背後にあらわれた、少女をとらえる。彼女はいまなんと言った、だれを、いったいなんとよんだ。
「……アナ、あなた、なにを言っているの」
エルサの声が、いっそうふるえた。おぼつかない視線が、エルサを見つめている。
「エルサ、あたし、思いだした。全部、思いだした。おしえてくれたの」
「……まさか、きこえたの? うそよ、そんなはずない、だってあなたからはもう、なにもかもとりさって……」
「こいつは、たまげた」
はっとした。エルサは前方にむきなおる。ウェーゼルトンが、欲にくらんだ目をぎょろつかせていた。
「うんとむかしに噂にきいたことはあった……。真にうえけてはいなかったが、まさか本当に、エルサ・アレンデールに妹がいたとは……ははあ、あの城は目くらましでもあったわけだ、おなじ化け物の妹をかくすための」
「ちがう! この子はふつうの子よ! 私とはなんの関係もない、ただの、ふつうの……」
エルサはぎっと唇をかんで、腕をないだ。瞬間突風がふいて、扉も窓もすべてこおりつかせた。男のかたわれが、すばやく扉にちかづく。先程ドアノブをほうりなげてきたほうが、それをこじあけようとする。しかし体当たりをしてもびくともしなかった。おい、どうしたんだ! ウェーゼルトンがさけぶ。われをわすれたエルサは、混乱と焦燥と恐怖をないまぜにしたような瞳をふるわせている。
「ちがう、アナはふつうの子よ、私なんかとはちがう、アナは、私の、アナは……」
エルサのまわりの空気がいたいほどにかたまる。途端、なにかがはなたれた。目には見えない衝撃が、男たちをふきとばす。ひいっと声をあげたウェーゼルトンがちぢこまった。つぎのねらいはさだめられている。男たちが、くらんだ意識をもとにもどすように頭をふる、老人がなにかさわいでいる。そんなものはもうどうでもよかった。もういかしてはおけない、アナのことをしられたからには、それがたとえかんちがいだったとしても、アナをねらわれるようなことがあっては。エルサのてのひらが、おそろしいほどにこわばる。まがまがしいちからが、爆発をまつように凝縮する。
「……!」
瞬間、その腕がつかまれる。驚愕とともに、ちからは霧散した。アナだった。エルサを阻止するように、アナが彼女の腕にすがりついていた。アナ、あぶないでしょう! そう言ったつもりだったのに、はあっとふるえた息がはかれただけだった。
「エルサ、なにしてるの、エルサのちからは、こんなことにつかうものじゃない……」
エルサのちからは、やさしくて、あたしのこと、たのしませてくれて。雪だるまをつくって、いっしょに氷のうえをすべって。雪なのに、氷なのに、あったかいの。目の焦点があわないまま、アナがエルサをさとす。愕然とその声をきいていたエルサは、そのうちにその場にくずれおちた。それでも、なんとかともにたおれそうになったアナをかばう。
「ああ、アナ、アナ……」
「……エルサ、どうしてないてるの」
「あなたこそ、どうして。私のことなんて、もうおぼえてないはずなのに」
「だから、おしえてもらったんだってば」
「うそよ、そんなの、うそ……」
まわりをおおっていた氷の障壁がきえていく。ねえ、あたし、もう絶対わすれない、二度とエルサのことわすれたりなんてしない。エルサのひざのうえに頭をかかえられながら、アナが手をのばす。エルサはそれをあわててとって、自分のほほにはわせた。
「ねえ、やっぱり、エルサの体温って、気持ちいいね……」
エルサの目から、また涙がこぼれた。ほほにふれる指先が、それをぬぐおうとする。ぎこちないしぐさは、結局エルサをもっとなかせるだけだった。
「……」
そのようすを、けわしい顔で見ているものがいた。なんとか意識を覚醒させていた男が、銃をかまえる。引き金に、指がかかろうとする。
瞬間、ぐわん、という音。その男はまえのめりになってたおれた。
「あちゃあ、あれ、きくんだよなあ」
それから、緊張感をかいた声。ユージーンがフライパンをふりおろしたところのラプンツェルをながめながら、もうひとりの男をしばりあげていた。そのとなりでは、クリストフとハンスが、ウェーゼルトンをとらえられた宇宙人よろしく両わきからつるしあげている。
「な、なんだきさまら! わしをだれだと思ってるんだ!」
「わるいけど、しらん」
「僕はしってる。僕の親父が出資してる、ぱっとしない政治家先生だ」
「……。おや、これは坊ちゃん」
「おいがきども、あそんでないでさっさとこいつら回収しろ」
急なさわがしさは、やはりすばやく収束した。わめきちらす老人の声だけが名残りおしそうにとおざかっていく。ラプンツェルはそれを背中でききながら、ふたりの姉妹を見つめていた。そのうちに、エルサの視線があがる。
「……ラプンツェル」
「え、ラプンツェル……?」
いまだ意識がはっきりしないアナが、それでもなんとかまぶたをもちあげる。彼女のぼやけた視界には、見つめあうひとがふたり。
「エルサ、わたし、ちょっとおこってるんだけど。おこってる理由も、きっと身勝手なものなんだけど。それでもやっぱり、あなたはアナに説教されるべきだと思うわ。……ねえ、アナ」
ラプンツェルがしゃがみこみ、アナの髪をなでる。がんばったわね、ね、わたしいつも、あなたはひとりじゃないって言ってたでしょ。それだけ言いのこした彼女は、ひらりと手をふってユージーンたちのあとをおいかけた。
「……」
アナは、ぼんやりと見あげていた。あいかわらずなきやまないエルサをながめていた。ああ、これじゃあ涙でおぼれてしまいそうだ。ねえ、あたしのねえさん。ぼそりとつぶやくと、エルサはおおげさなくらい肩をびくつかせる。
「……やっぱり、いなくなりたい?」
なにかがおしえてくれたことは、アナのけしさられた大切な思い出だけではなかった。エルサがどうしてアナにあいにきたのか、そう、それは、最後のときを、アナとすごしたかったからだ。
「……私は、きえてしまったほうが、そのほうがあるべきすがたなの。自然のなかにとけて、それで、……こんなふうに、ひとのかたちをしているからおかしなことになる……」
エルサがそれをのぞむのなら、ふしぎなちからはそれをうけいれるのだろう。それをのぞんでいるふしすらあった。だから、おねがいした。最後に、アナのなかにうまってしまった氷のかけらをとりのぞきたい、そのために、ちからをかしてほしい。そうすれば、私はあなたたちといっしょになるわ。
「ね……でも、いなくならないね」
「……」
エルサののぞむままに、なるはずなのだ。きっとエルサは、かつては本当にそうのぞんでいた。だから、彼女のねがいがかなえば、すぐにでもきえてしまうはずだった。それなのに、いま彼女はここにいる。それはきっと、エルサのこころがかわったからだ。アナとすごしたこのみじかいあいだに、長年彼女のなかでそだってきた絶望がとかされた。まだひとのままで、だれかとともにありたいと、のぞむようになった。
「ねえ、おこらないで、あたし、それがうれしい、エルサがここにいてくれて、うれしい……」
「……アナ、アナ……」
私も、あなたと、ずっといっしょにいたい。しぼりだされたつぶやきに、アナが笑った。それなのに、エルサはやっぱり涙をこぼした。
アナはそれから、うわ言みたいに海にいきたいと言った。今年が無理なら、来年でもいい、再来年でもいい。エルサはそれをうなずきながらきいて、今年だって来年だって再来年だって、毎年いっしょに海にいこうと約束した。